「長崎マンドリンアンサンブル」鑑賞記

11 月 4 日(土)、「長崎マンドリンアンサンブル」による第 17 回ファミリーコンサートが北千住シアター1010 にて開催されました。

「長崎マンドリンアンサンブル」は長崎大学経済学部の同窓生を中心としたマンドリンアンサンブル(合奏グループ)で、今回は指揮者を含め総勢 19 名の方が出演されました。

経済学部 OB としては、川口恒夫さん(学 12)、藤野 進さん(学 20)、岩崎 茂さん(学 22)、山中虎男さん(学 28)が出演され、素晴らしい演奏の数々をご披露頂きました。

午後 1 時 30 分、「丘を越え行こうよ 口笛吹きつつ」が歌い出しで有名なアメリカの「She’ll be Coming Round The Mountain(ピクニック)」で演奏が始まりました。軽やかなマンドリンの音色は、秋晴れの下、草原にでも飛び出したい心境にさせてくれました。ただ、当日の解説によりますと、原曲は、1890 年代のアメリカ横断鉄道施設工事に従事した工夫の“黒人霊歌”に起因するとの説明があり、細い旋律の裏に哀しみも感じられました。

続いて、映画音楽から“明日に向かって撃て”の主題歌「雨にぬれても」、今年亡くなった坂本龍一の代表曲「戦場のメリークリスマス」が映画シーンを思い浮かべさせるような名演奏が続きました。
井上陽水の「夢の中へ」、荒井由実(ユーミン)の「ルージュの伝言」、青い三角定規の「太陽がくれた季節」等フォーク系の曲も懐かしさの中に、フォークギターと一味違った優しいマンドリンの“調べ”が心に染みました。

プログラム外でも、古賀メロディーの名曲「丘を越えて」が特別に演奏され、筆者もマンドリン曲として是非聴きたい一曲だったため、大満足の日となりました。
最後は、ご存じ「長崎の鐘」です。長崎の地を母体とする「長崎マンドリンアンサンブル」にこれ以上ないアンコール曲となりました。罪深きわが身にとって、涙が出そうで心洗われる思いでした。

「秋の日のヴィオロンのためいきの 身にしみて ひたぶるに うら悲し」とフランスの詩人ヴェルレーヌの「落葉」を、上田敏は(訳詩集「海潮音」)、秋の悲しみとバイオリンの旋律を表現しています。しかし、筆者にとっては、“バイオリンのため息”より、“マンドリンの涙”のような旋律が秋の日に染み込むような気がした秋の一日となりました。「長崎マンドリンアンサンブル」の皆様、感動をありがとうございました。

国 広 昭 彦(学 29)

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